右手に剣を、左手に君を
「雅!!」
雅はよろよろとこちらに後退し、ついに膝をついてしまった。
「放っておけば、空亡様の敵となるやもしれぬ。
……今のうちに、片付けておくか……」
「さんせーい♪」
迦楼羅が笛を構える。
翼が不吉にはためき、その邪悪な息が吐き出される瞬間……。
「やめてっ!!」
俺達の背後から、高い声がした。
その声の主は、横の茂みから、俺達の前に身を投げ出す。
「……バカ……っ!」
茶色い髪に、紺色のワンピース。
全くこの場所に似合わない、普通の女の子。
に、見えるが。
実は龍神の姫の渚が。
俺達の前で、両手を広げた。
「……なに……?
あなたも、三剣士の一味なの……?」
玉藻の冷たい声が響く。
「わっ、私は、皆の友達ですっ!!」
渚は震える声で、なんとか答えた。
「バカっ、下がれ!」
彼女の横に立ち上がった瞬間、胸の傷に痛みが走る。
「く……っ」
迦楼羅は、首をかしげた。
しかし、次の瞬間……。
笛を、構えなおした。
「誰であろうと、同じ事だ。
仲良く消えるがいい」
「……!!」
その唇に、笛が押しあてられ……。
黒く渦を巻く妖気と共に、大波のような炎が、目の前に現れた。