右手に剣を、左手に君を
炎の波が、ぱくりと口を開け、俺達を飲み込もうとする。
「渚っ!!」
傷の痛みをこらえ、渚の身体を、自分の身体で隠すように抱きしめた。
「コウくん……!」
その俺を、雅と健太郎が支える。
三人の体が、彼女を守る小さな盾となった。
「ダメ……っ、ダメ、皆!!」
木々を、俺達を、全てを飲み込む轟音が背後で聞こえた。
背中が、痛みと熱さに引き裂かれる。
しかし、俺達三人は悲鳴を噛み殺し、ただその場に立った。
渚を守るために。
力尽きるかと思った瞬間……。
腕の中から、悲鳴が聞こえた。
「もぉ、やめてぇぇぇぇぇっ!!」