右手に剣を、左手に君を
《迦楼羅……早う……早う、新たな魂を……》
地獄の底から響くような声。
それは声だけで俺達を凍りつかせていく。
こんな……。
こんな存在が、まだ完全復活してないって言うのか……。
「申し訳ございません、空亡様」
「今、すぐに」
妖二人は、廃墟に向かっていく。
助かった……。
情けないが、素直にそう思った時。
迦楼羅が、こちらを振り向いた。
「……!」
意外な事に、声もでない。
「……虫けらめ」
迦楼羅は、そう言い放つと。
黒い翼を、はためかせた。
地上に砂ぼこりが起こり、息が苦しくなる。
そして……。
「消えろ」
迦楼羅の手に黒い羽根が集まり、巨大な塊になっているのが見えた。
その太い腕が、振り下ろされる。
「……!!」
ドガアアァァン!!
避ける力もなかった俺達は。
その塊の爆発を、モロに受けた。