右手に剣を、左手に君を



二日後、住吉神社……。



渚の応急処置のおかげですぐ動けるようになった俺達は、ばあちゃんの元に集まった。



「精神汚染系の妖弧・玉藻に、

火炎を操る天狗・迦楼羅か……」



この前の出来事をまとめ、ばあちゃんがうなった。



「そいつらが、まだ完全に復活していない空亡のために働いているんだな?」


「あぁ。空亡が復活すれば、人間は全滅なんだと」


「何をバカな……」



とは言いながら。


ばあちゃんは、眉間に深いシワを寄せた。



「あの廃墟をもう一度調べてみます。

もちろん、妖の気配がない時に。

あそこから、空亡の声がしました。

何か、手がかりがあるはずです」



雅が言った。



「そうだった。

元々は、あそこから玉藻と迦楼羅の気配がしたんだ。

あいつら、あそこでコソコソ何かやってたかも」



健太郎が補足する。


ばあちゃんは、まぁ待て、と手の平を出した。



「あそこに近づくのは危ない。

妖も、用心しているだろうから。

むしろ、それらがいないうちに、完全復活していない空亡を探して討つ方がいいんじゃないか?」


「ばあちゃん、それは無茶だよ。


空亡は、完全復活していないとはいえ、既に強大な力を身につけてたみたいだ。

声だけで、金縛りにあったみたいだった。


やはり、玉藻と迦楼羅から近づくしかない」


「わ、私もコウくんに同意です、おばあさま」



渚がおそるおそる口添えする。


それは俺の言葉より、影響力があった。


ばあちゃんは、珍しくため息をついた。



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