右手に剣を、左手に君を
「姫様がそう言うなら……」
「ババ様、なんか秘策はないんすか?
俺達が一気にパワーアップできるような……」
健太郎が詰め寄る。
しかしばあちゃんは、力なく首を振る。
「そんなもの、あればとっくに教えておるわ。
日々の積み重ねしかない」
「そんな……」
「今からでも、瞑想や剣術の訓練をしな。
私は、調べものをする」
「調べもの?」
全員の視線を受け、ばあちゃんは補足した。
「もう一度、昔の資料を洗い直してみる。
空亡を封印した場所、
妖狐と迦楼羅のこと、
姫様のこと……
もう一度探せば、何か見つかるかもしれない」
姫様のこと、と言われ、渚がぴくりと背を震わせる。
「……ばあちゃん。それ、俺も……」
「いい。未熟者は全員、修行に励め。
調べものは、年寄りに任せてな」
ばあちゃんは一方的に言うと、部屋を出ていってしまった。