右手に剣を、左手に君を
……それは、良かったのだが……。
昔の資料がしまってある、地下の書庫にこもってしまったばあちゃんは、
なかなか新しい資料を見つける事が、できずにいるみたいで。
雅や健太郎も、それぞれの家を隅々まで探してみたが、
結局、空亡の封印された場所はわからなかった。
資料が何者かに奪われて、その場所が知られるような事があってはならないからだろう。
ばあちゃんは、そう言った。
確かに、そんな資料が空亡の復活を願う妖に渡ったら、大変な事になる。
しかし、もう既に、何らかの事情で空亡は復活しかけているのだから……。
ご先祖様……こんな時のために、何か残しておいてくれよ。
そんな事を思っても、どうにもならない。
渚が言う通り、死者の思惑を探っても、しょうがないのだ。
そして俺達は、新たな疑問にぶち当たった。
「空亡の封印は、どうして解けてしまったんだろう?」
渚は、首をかしげながら答えた。
「妖狐や天狗も、昔からいたもの。
妖怪の間で、空亡の居場所が語り継がれていたのかもね。
それを、あの二人が解いちゃったのかな?」
渚が言うと、緊張感が半減する。
確かめようにも、場所がわからない。
俺達は、精神修行の傍ら、無闇に森や林を歩き回った。
あの廃墟にも一度行ってみたが、そこにはただの廃墟があっただけで。
手がかりはなかなか、つかめなかった。