右手に剣を、左手に君を
俺達が帰ってくると、ばあちゃんは、なんだか疲れた顔で出迎えた。
サボりに関しては何も言わず、ただ俺達の話を黙って聞いていた。
そして、静かに口を開いた。
「多分、人間の魂を集めているのだろう」
「集めて……どうするんだ」
「空亡の力の一部とする。
昔にも、そういった事があったらしい」
「一部って……食われるって事か?
やっぱり、行方不明者達は妖に殺されて……」
「いや」
黙っていた雅が口を開く。
「例の病とされた人達は、まだ死んでいない。
意識不明のまま、心臓は動いている。
ということは、彼等の魂はまだ消滅していない」
雅の言葉に、ばあちゃんがうなずいた。
難しい話が苦手な健太郎と渚は、黙ってうんうんとうなずいている。
「ある程度数が集まるのを待ってるって事か……」
「じゃあ早いとこ、玉藻か迦楼羅に接触して、魂を取り戻さなきゃ」
健太郎が言う。
そうだ、とばあちゃんがうなずいた。
しかし、どうやって……。
あいつらとの力の差は、この前見せ付けられたばかりだ。
あれから俺達は何か変わっただろうか?
渚も、まだ肝心のところは何も思い出せていない。
沈黙が、全員にのしかかる。
俺達は……勝てるのだろうか。