右手に剣を、左手に君を


「御津!」



バコン!!


突然頭に衝撃を受け、俺は目を覚ました。



「……?」


「昨日はサボり、今日は居眠り。

そんなに俺の日本史は退屈か?」



見上げれば、そこには俺をにらみつける、教師の顔があった。



「……すみません……」


「あとで職員室に来い」


「はい」



とりあえずその場はそれだけで済み、俺は姿勢を整える。


変な格好で居眠りしてしまったせいか、首が痛い。


もうとっくに半袖に変わっていい制服は、周りと同じように長袖のまま。


腕のところが、シワになっていた。


それにしても……。


不愉快な夢を見てしまった。


遠い昔の記憶。


昨日、あんな事を言われたせいだ。


一昨日までは、普通に接していたクラスメート達。


今では俺の事を、見て見ぬふりをしていた。


……おかしいな。


ちょっと前までは、野田の事を、周りになじめない可哀想なやつと思ってたのに。


今日は俺が、その立場か。


雅や健太郎、渚の心配そうな視線を感じる。


だけど俺はそれを、知らないフリをした。


全然、大丈夫。


一日中、そんなフリをした。







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