右手に剣を、左手に君を


放課後、職員室に呼ばれて。


一通り説教を受けた後、教室に戻る。


その途中。


渡り廊下から、見覚えのある小さな人影を見つけた。


裏庭の、すみ。


焼却炉の隣だ。



「何してんだ……?」



その長い茶色の髪は、間違いなく渚だった。


一緒に、男子の制服を着た奴が二人、いる。


しかしあれは、健太郎と雅じゃない。


ざわ、と不快感が胸を騒がせる。



「野田……と、尾野……?」



何で、あんな人気のないところで、あいつらと一緒にいるんだ?


雅たちはどうしたんだ?


得体の知れない不安が、胸に押し寄せる。


気づけば、身体が勝手に駆け出していた。










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