僕が好きな、君
その日、俺はいつもより早めに家を出た。
なんか早くに目が覚めちゃって、家にいてもする事ないしって家を出てきた。
今日は絶対10分前には教室に着くな。
すげー俺。
軽く感動。
駅のホームの壁に寄りかかり、足下に鞄を置いて、電車を待つ。
いつもは時間なくて、こんな奥の車両の方まで来たことないなあ…。
そんな事を考えていると、電車がきた。
プシュー。と止まり、ドアが開く。
俺は人に押されながら、電車に乗った。
一番ドア側。
すると、ドアが閉まるギリギリで女の子が乗ってきた。
「…すいません。」
小さな声でそう言い、ドアと俺の間のスペースに立った。
………っ。
一瞬…ほんの少し目があっただけ。
その一瞬で心臓がすごい音をたてた。
彼女は俺の方に背を向け、ドアの外の景色を見ている。
何…だよ………今のは。
どーした……俺…どーした………?
栗色の少し癖のあるセミロングの髪。
白い肌。華奢な肩。
………て何考えてんだよ、俺っ…。
でも……
俺は自分が降りる駅まで、10以上は低く、胸にスッポリとおさまりそうな彼女から目を離すことができなかった。
これはきっと……
生まれて初めての、一目惚れ。