†魔界戦記†


後どれだけ走れば
俺はアイツに追い付けるのか

アイツとのこの距離が
そのまま俺達の溝なのか。

さっき倒れてるミストを保護した
すっかり憔悴しきって
何があったか語ろうと
してくれなかった。


らしくねえよ
女を泣かすなんてさ


「あ、あのぅ」


また出た、しかも女。


セイトと戦っている男といい
どうしてこう邪魔ばかり
入ってしまうのだろう。

年齢は俺達と同じ位
スレンダーな外見に美しい顔立ち
黒いミニスカートの背中部分には
大きく派手なリボンがあった。

どう見ても・・・
天使じゃないよな?


「アンタも
通してくれないのか?」


二、三度こくこくと頷くと
真剣な眼差しでこちらを見る。


「さっきの男といい
アンタ等何なんだ!?
魔族側としては
カエンを守りたいのはわかるが
そんなに利益があるとは思えない

あのバカでお人好しのカエンに
魔族になんてなれるワケ
ないだろうが」


言葉を言い終わるか
終わらないかの刹那


ドゴォォォ


一瞬だったので
何があったかさっぱりだが
喉にはまだ激痛が残ってる。


「なんだよ・・・アイツ」


そこにはまるで
先程とは別人とも思える位
怒りに燃えている彼女がいた。


「カエン様のコトを
悪く言うのはやめろ!!」


様・・・?


なんで魔族に様づけで
呼ばれてんだよ・・・


どうしたっていうんだ


カエン・・・
< 140 / 163 >

この作品をシェア

pagetop