†魔界戦記†
「いったぁ〜い
何すんのさ、ハゼル」
最初からわかってたコトだが
コイツ、強い。
二人で戦っても
勝ち目がないコトくらい
俺でもわかる。
「行けよトード
俺一人で十分だろ?」
まだ何か言いたそうな
顔をしてたが
少し睨んだらトードは
仕方なさそうに承諾してくれた。
「気をつけてね」
「誰だと思ってん・・・だ!!」
地面を蹴って
トードと俺は同時に飛び出す。
威渦槌を大きく振り上げて
相手に打ち下ろす。
ガキン
これは・・・刀?
「カエンといいアンタといい
普通、剣だろ?」
どうしてだろう?
トードの背を押した瞬間
心にぽっかり
穴が空いたみたいだ。
「嫉妬でしょうね」
急に、今まで
無口だった女が喋り出す。
嫉妬・・・
そんなハズないだろ?
大体なんでわかったんだ?
俺の心が・・・読めるのか?
「心術ですから」
そう言って今度はにっこり笑う
笑う容姿は可愛いのだが
なぜか俺は寒気を覚えた。
「あなたはカエン様に
認められたい、追いつきたい
違う?」
そうだ・・・
俺はカエンに・・・
ダメだ。
これじゃあ相手の思うつぼだ。
でも、当たってる
まるで俺は・・・
取れない月に手を伸ばし続ける
猿のようだな。
もう、どうにでもなれ
「ならちょっと寝ててください」
脳天に強烈な蹴りが入る。
人生、諦めが肝心・・・か。