†魔界戦記†
何度殴られただろう。
もう意識も薄れてきた。
でも倒れない・・・
倒れちゃいけない。
「そろそろ限界だろ?」
やっぱりカエンは強かった・・・
逆立ちしても勝てやしないや。
でも・・・
「早く・・・倒れろ」
堪える、堪え切る。
いじめられてた時に
受けてた暴力に比べたら
君の拳は遥かに優しい。
「倒れろ、倒れろ
頼むから・・・倒れてくれ」
意識が飛んでも、立っててやる
もう僕は君を見失わない。
「倒れろよぉ・・・」
水滴・・・
いつの間にか泣いちゃったのか?
やっぱり何一つ変わってない
僕はやっぱり泣き虫だ。
でも違った。
それは僕の涙、ましてや
マステガの残り粒でもなかった。
あり得ないコトだけど・・・
カエンが、泣いてたんだ。
「もう倒れてくれ
嫌なんだ、トード、トード
殴りたくないんだ
戦いたくないんだ
ホントは一緒にいたいんだ」
それは僕も初めて見る
カエンが泣いた瞬間だった。
やっぱりカエンはカエンだね
みんなには
わからないかもしれないけど
カエンは昔のままだよ。
最後まで信念を曲げない
僕の憧れたあのカエンだ。
ゴメンね・・・みんな
こんなカエンの姿を見たら
僕の、負けだ・・・