†魔界戦記†


遠くでルシファーの
叫び声が聞こえる。


「しっかりしろ!!
自分を見失うな!!」


僕の中にあるのは
どす黒い怒りだけ

カエンにこんなコトをした奴を
殺してやる・・・


「・・・貴様」


ルシファーが低く唸る。

そいつか・・・
そいつがカエンを

ゆっくりと振り返る
しかし、いつでも
飛びかかれるように
眈々とチャンスを伺いながら


それでも僕は
飛びかかれるコトが出来なかった。

そこにいたのは・・・
ミカエルだったんだ。


「トード、反逆者をこちらに」


そう言って手を差し伸ばす。

ミカエルが、カエンを?


「ミカエル・・・貴様!!」


ルシファーが腰の刀を引き抜き
ミカエルに斬りかかる。

ルシファーの居合い抜きは
速すぎて僕には
見えないほどだった。


「さすがはルシファー」


ミカエルは、無傷だった。

その右腕に着けている
金の装飾がほどこされた籠手

それで斬撃を止めたのである。


「死ね、神に背く不届き者よ
さらば、我が・・よ」


ドォォォン


閃光に視力を奪われ
何が起こったのか

僕には何も見えなかった。
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