†魔界戦記†
傷だらけになって
それでもなおルシファーは
トード達をかばうように
爆風の盾になって倒れた。
「カエンを・・・こちらに」
しかしトードは動かない。
トードの体からは
本人とは全く別の
そう、まるで別人の様な魔力が
漏れ出ていた。
ミカエルは気付いた。
とうとう修行の成果が実ったと
とうとう計画が本格的に始まると
そう、それは・・・
『トードの覚醒』
周りの空間が歪んでいく
その中心は他でもない
トード自身であった。
古代より真術として
数多に存在する術の
始まりとされてきた術
『空術』であった。
「ついに・・・ついにきた!!
よくやった、トード
裏切り者たちは見逃すから
神のもとへ帰ろう」
ミカエルがトードの方へ
足を踏み出したその瞬間
ヴヴヴヴヴヴヴン
白い球体がミカエルの左足に
まとわりついた。
「なんだ・・・これは?」
その答えは身を持って
知るコトとなる。
「ぐわぁぁぁぁぁあ」
空間が、潰れた。
それと同時に
ミカエルの左足も『潰れた』
「あぁぁぁぁ
トード!!
貴様ァ!!!」
激昂するミカエル
トードは聞こえていないのか
それとも無視しているのか
それすらわからない。
目が虚ろで
まるで生気が感じられない。
「叫んでも・・・
カエンは帰ってこない」
また空間が歪み出す
どうやら手のひらで
空間を操っているようだった。
握れば潰れ
放せば大きく開く
無数の球体が
辺りをさまよっている。
まるでトードの心の様に。