†魔界戦記†

後ろからの不意討ちに
ハゼルは驚きを隠せなかった。


「あ、あ、あぁ」


「私の名前はグラドリエル
君を担当する天使さ」


ハゼルは睨み付け
グラドリエルを罵る。


「なんで・・・
なんでもっと早く
来てくれなかった!!
もう時間なんて・・・」


「君は、気づいたろ??」


「えっ?」


「さっき言ったじゃないか
自分は弱いのに
友達に負けたくないから
見栄を張っていました、と」


ハゼルの顔に
血管が浮き出る。


「き、聞いて・・・
いたのか??」


そして
グラドリエルは
急に真剣な顔になる。


「あぁ、己の力を過信して
相手の力を見ずに
戦ってきたんだろ?」


ふう、と息をつき
問いかける。


「なぜ、出てこなかったか
君はわかるかい??」


ハゼルは少し考え
小さく言い放つ。


「俺には、それが
わかってなかったから?
自分は一人じゃないって
受け入れようと
しなかったから?」


グラドリエルは
ハゼルの肩を優しく叩き


「勝手に突っ走り
死ぬような奴は
チームには要らないんだ
生きる意思は・・・
何よりも強い」


そう言って抱き締めた。

不思議と涙は枯れていた。

これから・・・
俺は、変わるんだ。
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