†魔界戦記†


「この道を・・・確か左」


前作からまだ迷っている
これでも主人公
カエンである。

ちなみに
この道を右に行けば
もとの場所であった。


「ん?」


前方に倒れている人を
発見するカエン。

歳は同じくらい
水色のワンピースを着て
腕には小さなアザがあった。


「大丈夫か!?」


とっさに駆け寄り
優しく抱き起こす。

どうやらこの暑さによる
脱水症状らしい。


「た・た・た・・・」


「これ以上喋るな
水のある場所に
連れていってやるから」


そう言うやいなや
女を持ち上げて
走るカエン。

しかし、女は首を振り
目をカッと見開いて
こう囁いた。


「た・た・食べたい・・・」



ガブッ



ブチッ、ブチッ
と嫌な音が響く。

頭だけ巨大化した
女の歯が、カエンの
左半身を食いちぎっていた。


「人間とは昔から
こういう手に弱いのぅ
若い女の格好をすれば
簡単に騙されよる
グァッグァッグァッ」


口から赤い血を滴らせ
高らかに笑い声を上げる
その化け物。

久々に食った肉の味を
楽しむように
何度も何度も
忙しく口を動かしている。

その時
溶岩の中の二つの瞳が
動き出す・・・。
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