†魔界戦記†
まるで水の中に
いるような感覚・・・
口からも気泡が漏れている。
前方にあるのは
自らが作った球体。
毎回ここにきて
何をすればいいか
わからなくなるのである。
カエンの特徴的な
黒ずんだ赤色の炎。
黒い膜の中で
それがうねりを上げて
暴れている。
今にもそれは
はち切れそうであった。
「これに・・・
どうしろってんだ?」
文句を呟きながら
そっと手を伸ばしてみる。
(自分から膜を破ってみろ)
「死んだら恨むぜ・・・」
ギュッと目を瞑り
覚悟を決める。
ピシッ
膜が・・・
砕け散った。
閃光がカエンを包み
そして何も見えなくなった。
「なんだ・・・これは」
飛んでくる石片を
左手で払いながら
巻き上げられた砂で
霞んで見える
カエンを見つめる。
今、魔界には
巨大な台風が発生している。
その中心にいる男は
なんとあのカエンであった。
強大過ぎる魔力
それは魔力全土を
震撼させていた・・・。