†魔界戦記†
神事
「ギザールの野菜
香辛ポーション
ケルピーのフカヒレ
あとは・・・」
手に持ったメモを見ながら
何度も何度も
内容を復唱するカエン。
ここは闘技場の
はなれの村テリーベ。
ルシファーに脅され
無理矢理お使いに
駆り出されたのであった。
「おねェーさん
そこのキジンダケ
つけといてよ」
エプロン姿の似合う
人の良さそうな女性が
振り返る。
「またおつかいですか?
お師匠様恐いですねぇ」
ここの魔族たちにも
すっかり溶け込んでいる。
少し、ほんの少しだけ。
ここで生きるコトを
考えていた自分がいた・・・。
前を向くと
みすぼらしい服に身を包んだ
幼げの残る女の子が
目の前に立っている。
目の焦点すら合っておらず
息をするのも苦しそうだ。
「お兄ちゃん・・・
人間だよね」
あまりにも突然の質問に
面食らってしまい
その質問に答えるコトが
出来なかった。
「英雄って、何なの?
正義って何?
悪魔はなんで
生まれた時から悪なの?」
通りの横わきから
子供の保護者らしき
人物が現れる。
「すみませんね
なんせ買われてから
まだ日が経ってないもんで」
そう言うとせかせかと
人混みの中に消えていった。
カエンは一人
その大通りに呆然と
立ちすくんでいた。