図書室から始まる彼女の初恋
「少しでも俺に惚れてくれた?」
えーっと…
何言ってるのよ!?
「確かに美男だとは思う…。けど惚れてない…!
自意識過剰にもほどがあるんじゃない?」
どうして笑うの?
なぜか啓をつかめない。
「珍しいねー。
女の子と1:1で喋ること、早々ないんだよ?
いつも何かといっぱい女の子が周りに居るし。
一人になりたいときは困るんだけど、
女の子には不自由してないよ。」
一人になりたいとき、
図書室に逃げてきてたって分けね。
女の子には不自由してないって…
贅沢。
でも、私は啓みたいに誰でも良いって
わけにはいかないよ。
いつか本気で恋して、その恋を実らせたい。
啓みたいに、私はなりたくない。
「あっそ。良かったね。」
「…努力したんだね。」
啓がポツリとつぶやいた。
「桃奈、おそらく一年から三年まで、ダサ子で有名だったんだよ。」
え!?
やっぱり、そうだったの!?
「でも、可愛くなったね。
誰から見ても可愛いよ。」
急に素直になって…
私は頬が赤くなるのが分かる。
啓は、
女心を分かりすぎてる。
「…どうも…」
しかも心どころか、女を知っている。
私が努力したことも。