図書室から始まる彼女の初恋


その日の晩。

私はお姉ちゃんの部屋に駆け込んだ。

「またー?
あたし、そろそろ準備しなきゃいけないんだけど!」

そう言いつつも
いつもお姉ちゃんは私の話を聞いてくれる。

「あのさ、私もっとメイクも髪も上手になりたいの!」

…どうして私、ここまでムキになっているんだろう。

啓のため…

いや、絶対無い。

明日啓と並んで歩くことになりそうだから、
ちょっとでもつり合うように。

うん、そうだ。

決して、啓のためじゃないもん…!

啓の隣にブスが居たら、
睨まれちゃうからだよ!

私は荒れ始める、鼓動を何とか抑えた。

「なんで?」

「え?」

「なんでそんな急に必死になってんの?」

…やっぱり、
バレルと思った。

お姉ちゃんには叶わないな。

「…男の子と…遊びに行くの…」

私は聞こえるか聞こえないかくらいの声で
ボソッと言ったのに、お姉ちゃんの耳には届いたらしい。

「へー…アンタがねー。
まあ、メイクは濃すぎても引かれるからそれくらいでいいんじゃない?
髪型は私のお姉さん雑誌貸してあげるから。」

ニヤニヤ笑うお姉ちゃん。

恥ずかしいからやめてほしい…

「うん…
言っておくけど、彼氏じゃないから…」

「なーにー?
そいつ狙ってるのー?」

「そんなんじゃ…!
本当にただの友達だもんっ。」

もう…全く信じてないよ。

私は、
雑誌を部屋に持ち込み、
深夜まで髪型を練習した。
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