図書室から始まる彼女の初恋
「おはよー!」
教室に元気よく入る。
皆いつものように明るく返してくれる。
これが努力した結果なんだ。
「桃奈、いつもより気合入ってないー?」
「え…そ、そうかな!?」
危な…
噛みそうになったし…
平然に、平然に。
わざわざ私が、
焦るような必要ないんだから。
と、その時、
クラスメイトの女の子の一人が
私達のところへ突然かけより、
目を見開いてる。
「…あ、あそこに、芦田せ…先輩が居る…」
え!?啓!?
女の子が指をさす方を見ると
こちらを向いて微笑んでいる。
また営業スマイル!
「…啓っ!気持ち悪いってば!」
私は皆が呆然としているのに気が付かず、
ズカズカと啓の方へ歩み寄る。
「おはよう、桃奈♪」
「ああ、うん、おはよ…」
私はしばらくして、
また啓のペースに巻き込まれていることに気が付く。
「今日は一段と可愛いね。」
どこのホストのセリフだよ…
「はあ…本当、馬 鹿。啓が言うと、何でもお世辞に聞こえる!」
「ええ?ひどいなあ。
あ、それと、覚えてる?
今日は強引に迎えに行くね。」
覚えてるに決まってるでしょ!
こっちはそのために、
夜遅くまで…
おかげさまで寝不足だよ…!
「桃奈…」
後ろを振り向けば、
いつも一緒に居る、女の子メンバー。
「付き合ってるの…?」
私なんかより、
涙目で聞いてくる、
この女の子達の方が可愛い…!
答えようとするが、
啓は当たり前のように答えさせてくれない。
「俺達ー?どんな風に見える?
見ての通り、親密な関係なんだけどね♪」
は!?
「何言ってるの!」
私はひじで啓の横腹をつつく。
「だってさ、昨日は二人で相合傘して帰ったでしょ。
桃奈、俺に寄り添ってきて可愛かったなー…」
めげずに、
クスクス笑い勝ち誇ったように私を見下ろす。
「寄り添ってきたのは、どっちかといえば、
啓の方だし…」
「君達も今俺と話したよね?
一度でも話せばもうそれは、無関係じゃないんだよ。」
私の言葉は無視ですか!?
しかも気持ち悪いセリフ
吐いてんじゃないわよ!
しかも、昨日の梨香さんみたいになってる、彼女達。
「じゃー、教室戻るね。
また放課後に。」
「もう来なくていい!」と叫んだのに、
あさっりスルーして、手をヒラヒラ振って行ってしまった。