図書室から始まる彼女の初恋
放課後、思い足取りで図書室に向かう。
昼休みにも質問攻めにあい、
私はグッタリと疲れていた。
何よりも梨香さんに顔を合わせずらい。
―――ガラッ
扉を開けるとすでに
梨香さんは来ていた。
「桃奈遅いようっ!」
いつもの明るい梨香さんだ。
私が気にしすぎたのかも
しれない。
「今日何か可愛い。」
梨香さんにも言われた。
化粧一つで可愛くなれたり美人になれたり、
魔法みたい。
本当に素敵だなって思う。
「ありがとうございます♪」
「それでさ…さっきね…」
――――ガラッ…
この扉の開く音。
もしかして啓?
馬鹿!
来るの早すぎるよ。
啓の馬鹿…
「桃奈♪」
「な…何?」
私は強引に誘われるんだから、
間違っても自分から着いていっちゃいけない。
「会わせたい人がいるんだけど。」
うん、そうだね。
昨日聞いたよ!
「で?」
「来てくれない?
君、良いよね?」
り…梨香さんのことを
「君」だと!?
昨日啓に思い切りタオル貸してたじゃない!
この最低男!
「ああ…うん。」
梨香さんは
うつむいてしまい
それ以上何も言わない。
……私。
間違えたことしてるのかな。
こんなにも啓のことを好きな子がたくさんいるのに、
私今、一人占めしてるじゃない。
好きでもないのに。
こんなの…
こんなの本当に良いのかな。
だけど啓は私に考える暇を与えない。
「良いって。」
グイッと私の腕を引っ張る力は立派な男だ。
こんなにも
細い腕してるのに。
…啓の手が私の腕を掴んでいる。
そこだけに集中してしまう。
熱を持っているみたいに。
私、おかしくなっちゃったのかもしれない。