図書室から始まる彼女の初恋
「うう…啓、
私、校門くぐった瞬間生徒に変な目で見られそう…」
「じゃぁ、これで良いでしょ?」
…っ…。
啓は再び私を揺らがせる。
啓に握られた右手。
「な…に?」
赤面した顔を見られないように、
うつむいて聞く。
「俺と桃奈は付き合ってるように見えるでしょ?
誰も桃奈がタラシ何て思わないよ。」
は…?
私が気にしてるのはタラシじゃない!
女の子達の目だよ…
これじゃ、
ますます注目されちゃう。
でも私は、
啓の左手を振りほどくことは出来なかった。
温かくて、細い手。
少し、力がこもっているようにも思えた。