図書室から始まる彼女の初恋


「何あの子。」

案の定、睨まれた。

怖くて思わず啓の手を
ぎゅっと握ってしまったことに後悔…。

「佳樹君ー!」

「燐、可愛いーっ。」

「優希君、大好き!」

「いやーん、啓君ー♪」

ドンッと押され、
転ぶと思ったその時。

「大丈夫か?」

優希が私の腕を掴んだ。

啓とは違いしっかりした、
男らしい手だった。

「あの子誰なのお?」

色気を使う女の子。

いや…女の子じゃない。

これぞ野獣だ。

「俺達の女だよ。」

佳樹が涼しい顔をして答える。

「…え?嘘でしょ?」

「所詮、一年じゃない…!」

「マジで意味不明!」

飛び交じる罵声。

すみませんね!

私だって意味不明だよ!

「行こうよ、皆。」

この空気に耐えられなくなった私は
四人に声をかける。

「俺…悪口は嫌いだな…☆」

「桃奈ケガはない?」

燐に啓…

完璧表の顔だ!

「まだチャイムが鳴るまで時間あるよ。」

「じゃあ、あそこ連れて行くぞ。」

「賛成っ♪」

「うん、そうしようか。」

え?え?

話勝手に進んでない!?

私も混ぜなさいよ!

もう…馬鹿、馬鹿!
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