図書室から始まる彼女の初恋
…ここは…。
連れて来られたのは、
学校内の滅多に人が通らないらしい裏庭。
古びた木造の小屋(?)が建っていた。
「何で鍵持ってるの?」
佳樹が鍵を指に引っ掛けている。
「落ちてた。」
落ちてるものなの!?
まあ、たまたまだろうけど…
音もなく開く扉。
「優希、懐中電灯つけて。」
「おう。」
間も無くして、
ポウ…と明かりが灯る。
朝なのに、
そこは薄暗く、
そして肌寒かった。
置かれているのは、
雑誌や漫画、お菓子の食べかす、
それにクッションが七、八つほどあった。
「ここね、俺達の隠れ家なんだよー♪」
隠れ家…
私は本当にこの四人に加わってしまったことを実感した。
「あー、だりい。
今日もメス豚達ばっかだな。」
…野獣よりメス豚の方が
合ってる気もする!
「うんうん。
美女は居ないのかな。」
また、
本性が出始めた…
これ動画撮って流したい!
「啓には桃奈が居るじゃん☆」
…燐はまた良からぬことを言って。
何でまた
鼓動が早まるのよ私は…!
「どうしたのー?桃奈。
顔が赤いよ?」
佳樹はどうして
空気を読めないの!?
気づいても黙ってくれたって良いのに!
「そんなんじゃ…」
「可愛い、桃奈。」
な…啓まで…
否定してよ!
「もう、私教室行くからね!ふんっ!」
「あ、待って。」
「きゃっ…」
ふいに私は啓に抱きしめられた。
…駄目。
心臓の音が伝わっちゃう。
「…あっ…啓っ…!」
啓の金色に近い髪が
私の耳をくすぐる。
「桃奈、外に人が居ないか確認して出て。
そうしないとすぐバレちゃうよ?」
「へ!?」
私は思わず間抜けな声を発してしまった。
そういう事だったの!?
…うわ、私恥ずかし…
「桃奈の今の感じた声はそそったな。」
「うん。エロエロだねー!」
「さすが、メス豚とは違うね。」
「だってさ、桃奈。」
…何よ。
本気にして何が悪いのよ。
「もう…大…嫌…いっ…!
啓達は私をからかうために近づいたんでしょ!?」