図書室から始まる彼女の初恋
【恋も図書室で】
「すみませんでした!」
次の日、
私が梨香さんに謝る声が響いた。
「啓のときといい、昨日といい…」
放課後に至るまで、
私は何度もクラスに先輩から顔を見に来られたり、
質問攻めに合ったりした。
幸い、
嫌がらせのようなものは今はない。
「桃奈っ、顔あげて?
私全然怒ってないから!ね?」
私は今まで、
人の顔をうかがってビクビク暮らしてきたので、
すぐ表情を読み取れてしまう。
梨香さん。
今、すごくつらそうですよ。
本当にごめんなさい。
「あのさ…よく見るんだけど、
桃奈って、あの人たちと仲良いよね…」
あの人達とは啓達のことだ。
「はい。仲良いですよ。」
梨香さん、私本当の自分の気持ちに気づいたんです。
だからこれだけは譲れない。
例え、啓が私を好きじゃないにしても、努力するのみだ。
きっと報われるから。
私の初恋。
叶えたいの――――