図書室から始まる彼女の初恋
――――ガラッ
突然、遠慮なく入ってきた人物。
「やっぱり、ここだったんだ。」
「あ…啓。…うん。皆は?」
帰っちゃったのかな?
「ああ、漫画でも読んでる。
優希は今日は女の子DAYだよ。」
そうですか…
女の子DAYですか…
「帰ってても良いのに。」
「桃奈は俺達のお姫様だから駄目。」
ま…またそんなことを、サラッと。
梨香さんもいるのに!
時と場合を考えなさいよ!
…嬉しいけど。
嬉しいんだけどね…。
「じゃぁ、今日は行きたいところ連れて行ってよ。」
「どこ?」
「本屋さん。
その後晩ご飯、皆で食べたい。」
これじゃあ…私が悪いじゃん…
隣に梨香さん居るのに、
その気持ちを考えようとせず。
そんなこと分かっているのに、
ついムキになってしまう私が居た。
「本屋さん?あ、何食べたい?」
「雑誌買いに行きたいのっ。
焼肉に決まってるじゃない♪」
大好物の焼肉を友達と食べに行くのは密かに夢だった。
「相変わらず、燐に負けないくらいの食い意地…」
「悪かったわね!」
っ!?
啓は私を腕の中へ引き寄せた。
「…またっ、そんなことする。
やめて…梨香さんも居るんだから…」
温かい。
ずっと抱きしめてもらいたい。
でも、梨香さんが居る。
相当のショックを受けるに決まっている。
それは駄目だ。
そんなことしちゃ駄目だ。
「俺は気にしないよ。
…皆みたいにキスする?」
それを聞いた瞬間、
蘇る三人の濃厚なキス。
「最低っ!」
私はニヤついている啓を引き剥がし、
啓ご自慢の胸板をポコポコと殴った。
「とにかく、俺はココで待つから、早く終わらせてね。」
終わらせてって…
別に役割も何もないし、
人も来ないのに、いつ終わるかなんて決まってない!
叫ぼうとしたが、
私は今のドキドキで
体力を使ってしまったらしく
大きな声が出なかったので諦めた。