図書室から始まる彼女の初恋


私は結局強引に啓に連行された。

「啓…啓の一言が梨香さんを傷つけてること気づいてる?」

「うん。」

無表情で頷く啓。

「だったらな…」

啓は私が言うことを予測していたかのように、
私の発言をさえぎり続ける。

「期待させちゃうから。
軽く好きになってもらう程度だったら全然構わないよ。
…だけど本気に好きになられると気持ちに答えられないから。
だったらどんどん好きになられる前に遠ざけた方が良いでしょ?」

私は無意識に頷いていた。

啓の言うことは本当に最もで
反論のしようがなかったから。

「せめて…友達にもなれないの?梨香さんと。」

「…うん。」

啓を見つめていた私の目から
啓がそらす。

啓からそらしたのは
初めてだ。

「喋ってみるよ。
友達にはなれないけど。」

啓は観念したようだ。

「本当に!?」

私は啓を思い切り引っ張り、
急いで啓を連れ戻した。
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