図書室から始まる彼女の初恋
【誤魔化し】
「……はあ…」
私本当性格悪いわ…
「桃奈、
せっかく焼肉来たのに元気ないね。」
啓は私の異変に
すぐ気がつく。
「だってさあ…」
「桃奈が気にすることないよ♪
相手があそこに居たのが悪いよ~っ。」
それも一理あるかもしれないけど…
私だったら―――
絶対嫌。
きっと一人じゃ立ち直れないし、
顔も合わせたくなくなる。
梨香さんは性格が良すぎて、
遠慮しちゃうから…
「啓のこと好きなんだよね?」
「え!?」
佳樹、
私の気持ちに気づいた!?
「…?桃奈が言ってた先輩。」
あ…ああ、そっちか。
バレたかと
思っちゃったよ!
紛らわしい!
「…うん。」
「正々堂々勝負しても、
あの先輩には勝ち目ないよ。」
…え。
梨香さんは
あんなに頑張っているのに?
「うんうん♪
啓の眼中に入れるのはなかなか難しいよ。
すぐ忘れるもんね。啓。」
確かに、
啓は梨香さんの名前を覚えていなかった。
「興味ないから。女に。」
冷たく言い放たれた言葉。
「あの…私も女…!」
もしかして、
啓の中では私は男なの!?
だから私に
優しくしてくれるの…!?
「桃奈はお姫様だから。」
「どういう意味?」
私は啓の“特別”なのかな。
だったら嬉しいけど。