図書室から始まる彼女の初恋


私と梨香さんは
カウンターの二つの古びた椅子に腰掛ける。

「桃奈って好きな人いたりする?」

好きな人か…

出来た覚えがない。

好きになってもらった覚えもない。

…虚しくなってきたから考えないでおこう。

それに恋愛に興味もないしね。

「いないです、恋愛とは無縁で…」

「そっかあ。」

私も聞いちゃっていいのかな。

私は、梨香さんの顔色を伺いながら尋ねる。

「梨香さんは恋愛、してるんですか?」

「うん、まあね。
片思いだけど…」

梨香さんはまるで自分を元気付けるかのように、
明るく笑う。

キラキラしている人にも
悩みってあるんだ…

「羨ましいです…」

「…何が?」

「私、ブスで内気で暗くて…。
対照的な梨香さんが羨ましいんです。
好きな人さえできたことないので…」

一瞬シンとする図書室。

…私。
思わずベラベラと本音を…
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