図書室から始まる彼女の初恋


「グロスの味は桃かな?」

啓が唇についた私のグロスを指でなぞっている。

「…啓。ちょっと来て。」

燐が真剣な表情で
啓を外へ連れ出して行った。

私はそんなことも気にならなかった。

……啓とキス…

ファーストキスは啓…

どこかでホッとしている私がいた。

思い出には
燐しか入れる予定がなかったのに。

「桃奈は、啓が好きでしょ。」

佳樹からかけられた言葉に私は驚いた。

そして佳樹はさらに続ける。

「燐は優しいから。
啓にも、桃奈にも。
また恋愛をして傷つく啓をかばって、
啓に恋愛して傷つく桃奈をかばう。
…本当に凄いよ。」

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