図書室から始まる彼女の初恋

【皆のためにも】



「私は燐が大好きなの!」

突然声を張り上げた私。

「私…啓のこと、
特別な感情で想ったことないよ。
初めから…燐しか見てなかった。」

嘘だよ。

全く反対。

でもこうしないと
大変なことになる気がした。

「燐は…私のこと遊びかもしれない。
だけど私は本気だから…!」

本当は燐の名前を
啓に置き換えたい。

でも…できない。

啓……

「大体さ、
頻繁にイチャついてくるし。
迷惑してたの。
今だって…最悪。」

最悪…な分けない。

どちらかといえば
啓とキスできて最高だ。

私…皆のこと大好きだから。

離れたくないから…。

「桃奈、本当?」

啓と似たような佳樹。

「本当。
燐は何か勘違いしてるかもしれないけど私好きだから…絶対振り向かせたいの。」

「信じて良いの…?」

佳樹の澄んだ瞳に見つめられ、
言葉を詰まらせる。

「本当だよ。」

私は燐の彼女。

啓を困らせたりしない。

愛しい人のために―――
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