図書室から始まる彼女の初恋
着いたのは学校から少し離れた
人一人居ない公園。
「話って…」
「別れてくれない?」
うう…直球。
「…嫌です…」
燐とは別れないもん。
「遊ばれてるだけじゃん。」
燐は…燐はそんな人じゃない。
明るい分、
優しくて思いやりがある。
そんな素敵な男の子なの。
私はうっすらと目に涙を溜め、
六人を睨んだ。
言葉で反抗しようとは思わない。
怖いし…
「うっざあ。」
「いたっ……」
巻いていた髪が
力強く引っ張られ、
衝撃が走る。
「じゃーさ、燐以外には近づかないでよ。」
…え?
「あんたが付き合っているのは、燐でしょ。
残りの三人には近づかないで。」
「私達だって近づきたいの。」
その通りかもしれない。
私はたまたま啓に
気に入られて
皆と仲良くなっただけ。
こんなイケメン四人のグループに一人だけ女の子なんて、
誰もが憧れる。
この人達は
間違っていない…
「何か言えば?
元ブスが。
あれー?今もブスかっ。」
その言葉が
私の胸の奥を切り裂いた。
“ブス”…
努力したのにその言い方。
何よ…最低。
最低、最低、最低、最低、最低…
「放して!」
私は髪を掴んでいた野獣の腕を
爪を立てて引き剥がす。
野獣の腕からは
赤黒い血。
「私…啓達には近づかない。
だからもう関わらないで下さい。」
また“ブス”と言われることを考えると
ゾッとする。
「ふざけんな。
こんなことしておいて、
簡単に済まそうとする方がおかしいから!」
「お前、マジでうざい!」
黙って…!
もう嫌だよ。
やめて―――――