図書室から始まる彼女の初恋


「桃奈、待って!」

燐が私を追いかけてきて、私の腕を掴む。

「本当に離れるの…?」

「だって…このままじゃ、駄目だし。
それに、啓のこともキッパリ忘れるには良いと思って…」

本当は離れたくないんだよ。

四人と仲良くしたいんだよ。

だけど、
四人は私の遠いところに居る、王子様達。

平民の私が安易に近づいてはいけないんだ。

「燐…しんどいでしょ?」

再び私を見つめる燐の表情が暗くなる。

「離れて良いよ。
私前まで孤独だったし、慣れてるから。」

燐が苦しむ必要もないよね。

私だけが
苦しめば良いんだ。

そうすれば、
いずれ時間が解決してくれる。

そうでしょ――――?

「桃…」

駄目だ…

泣いちゃう。

私は燐を振り払って、
トイレに駆け込んだ。

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