君がここに居たこと~初恋の奇跡~
ここに、あきと来たの?
「 ・・・お母さん 」
「 ん? 」
「 ちょっと疲れちゃった・・・
もう、帰ろう? 」
梅雨入り前のじめじめした
空気の中、気付けば私も
曇った空みたいにモヤモヤしていて。
家に着くまでの間、
私はずっと頭を押えていた。
見えているのは幻影か、
それとも私の”記憶”か。
「 ねぇ、お母さん 」
「 なに? 」
「 さっき、男の人いなかった? 」
「 男なんてたくさん居たじゃない 」
「 ・・・・そっか 」
手を伸ばしたら触れそうな距離に居た。
・・・・・居た、のに・・・・・。