君がここに居たこと~初恋の奇跡~




「 ああ、そうだ 」




久しぶりに帰った家に
ただいま、と言って
お母さんの居るリビングに入る。




私の顔を見て思い出したように
カレンダーを指差して




「 28日、お墓参りね 」


「 ・・・・?・・・そう 」


「 前もって言えって言ったの
  繭じゃない 」




スケジュール帳にメモする
私に”冷たい娘”と言って
お母さんは夕飯の支度をしだした。




出て行く前と何も変わってない。
懐かしいな、って夕飯ができるまで
家の中を歩き回っていた。




「 ・・・・汚い部屋 」




自分の部屋が一番懐かしくて、
だけどほとんど引越しのときに
持って行ったせいで物は少ない。




ダンボールに入らなかった小物を
適当に出して行ったせいで
散らかっているし、
本当に、何も変わってない・・・




< 107 / 209 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop