君がここに居たこと~初恋の奇跡~
「 あ、お母さん 」
「 あら、おはよう 」
新聞を広げながら
コーヒーを飲んでいた
お母さんの向かい側に腰を下ろした。
「 おはよう、・・・あのね 」
「 なに? 」
視線は新聞に落としたまま
お母さんは返事をして、
私も私でお母さんを見れずに
俯きながら口を開いた。
「 ・・・私、この家に居た頃
彼氏いた? 」
「 ・・・・・・・・・え? 」
バサッ、と新聞を落とした手は
微かながらに震えている。
驚いた目が私を見ていて、
同じことをもう一度聞いた。
「 ・・・・お母さん? 」
「 どうしたのよ、急に 」
コーヒーを飲んで、小さく息を
吐いたお母さんがあまりにも
真剣な目で私を見ていたから
目を逸らせなくなってしまった。