君がここに居たこと~初恋の奇跡~
「 ・・・いや、写真が出てきてね?
彼氏みたいだったから・・・ 」
今も付き合ってますなんて言えなくて
指先で遊びながら少しだけ目を
泳がせた。
「 ・・・香月くん 」
「 ・・・え? 」
「 居たわよ、彼氏 」
ああ、そうなんだ。って
私は立ち上がって、
「 私、そろそろ帰るね 」
「 あ、ちょっと待っ・・ 」
最後の最後に、なんだかいいことが
あったな、と呼び止める声なんて
聞こえてない私は部屋に戻り
帰る準備をして、玄関に行った。
「 ・・・・繭 」
「 ん?なに? 」
「 ・・・・なんでもないわ。
じゃあまた28日にね 」
「 うん、じゃあね 」
雨はまだ降っているけど
家から駅は近いし、と
私は家を出た。