君がここに居たこと~初恋の奇跡~




そう言えば、最初におめでとう、って
言ってもらったんだっけ・・・




「 23歳・・・ 」


『 なに? 』


「 何もないまま時間だけが
  過ぎていくなぁ・・・って 」




もう23年生きたのか、と
しんみり思いながら受話器の
向こうから聞こえる笑い声に
”どうしたの?”と首を傾げた。




『 いや、相変わらず可愛いなと思って 』


「 ・・・・何それ 」


『 繭は髪が茶色い方が可愛いよ。
  黒も好きだったけど、俺は茶色が
  一番好きかもしれないな 』




突然そう言われて、先週染めたばかりの
髪にそっと触れた。




もしかして、もしかすると、
会社の人間だったりするんだろうか。




髪を染めたことに気付く人なんて
その辺の人くらいしか・・・・




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