君がここに居たこと~初恋の奇跡~




『 ──────血塗れ、か 』




ずっとずっと遠くて
私に向かって手を振る人が居た。




最初はそれが誰だか分からずに
だけど何度か見るうちに
それが誰だかはっきりしてきて、




血に塗れた体で、
痛そうなのに笑っていて、
辛そうなのに、苦しそうなのに、
私に手を振るあきが見えた。




ばいばい、と何度も言いながら
ただずっと手を振っている。




『 ここにいるよ、繭 』




あきの写真を見つけてから
あきの顔がはっきりして、
だからだろうか。




こんな悪夢が”日常”に
なりつつあった。




あきの写真と挨拶を交わすように
血塗れのあきを夢で見る。




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