君がここに居たこと~初恋の奇跡~
『 そっと目を閉じて
繭の1番好きな”俺”を描いて 』
言われた通り、あの写真の中で笑う
あきを思い描いて、
『 繭が言われたい言葉を
その俺に言わせてみて 』
起こしていた上体から力が抜けて
ドサッ、とベッドに倒れこんだ。
無意識だった。
想像の中、瞼の裏で笑うあきが
私に向かって言った言葉。
『 ──────────愛してるよ、繭 』
大丈夫だよ、と言って欲しくて
傍に居るよ、と笑って欲しくて
想像の中、胸の奥、瞼の裏で
あきは笑う。
そして、受話器の向こうから
聞こえたあきの声に
どこかで詰まっていた涙が
溢れ出して来た。