君がここに居たこと~初恋の奇跡~




『 そっと目を閉じて
  繭の1番好きな”俺”を描いて 』




言われた通り、あの写真の中で笑う
あきを思い描いて、




『 繭が言われたい言葉を
  その俺に言わせてみて 』




起こしていた上体から力が抜けて
ドサッ、とベッドに倒れこんだ。




無意識だった。




想像の中、瞼の裏で笑うあきが
私に向かって言った言葉。










『 ──────────愛してるよ、繭 』




大丈夫だよ、と言って欲しくて
傍に居るよ、と笑って欲しくて




想像の中、胸の奥、瞼の裏で
あきは笑う。




そして、受話器の向こうから
聞こえたあきの声に
どこかで詰まっていた涙が
溢れ出して来た。




< 140 / 209 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop