君がここに居たこと~初恋の奇跡~
『 うん、けど俺は今言いたい 』
「 え~・・・ 」
『 話させて? 』
「 ・・・話してる間に着く? 」
『 ・・・かもしれないね 』
あきは向かっている、と言うけど
電話の向こうから聞こえるのは
あきの声だけ。
クリスマスの夜は見渡す限り
楽しそうな人たちで溢れているのに
雑音一つしないなんて・・・
本当に、来るの?
そんなことを思いながら
鞄の中に入ったたくさんの
キャンドルをちらっと見た。
『 9時に駅で待ち合わせて
イルミネーションが見たいって
繭が言ったんだ。
今繭が歩いているところを
手を繋いで歩いてた 』
「 ・・・そうなんだ 」
『 繭、次の曲がり角を右に曲がって 』
「 へ? 」
話はそれだけなの、と
首を傾げながらも言われるまま
私は右へ曲がった。