君がここに居たこと~初恋の奇跡~
「 繭、この坂を上った先に
何があるか知ってる? 」
「 大きな、公園 」
「 そう、そこに行きたかった 」
「 ・・・・え? 」
街を一望できる展望台がある
大きな公園は、街灯のない
この暗い道の向こうにある。
夜に行こうという人はいない。
「 寒いから、温かいものを買おうか 」
「 ・・・・・あき 」
「 繭、寒いでしょ?
これ持ってて 」
温かい缶コーヒーを手渡されて
それをきゅっと握る。
再度片手を握られて
暗闇の中に足を踏み入れた。
「 怖いよね 」
「 ・・・なんで、こんなところ・・・ 」
「 なんで、って・・・
行き先はもう限られてるでしょ? 」
陽気な笑い声が似合わないこの場所は
色んな意味で怖かった。