君がここに居たこと~初恋の奇跡~
振り向かないあきにそう言えば
ライトアップされた展望台に着いた。
街のイルミネーションはとにかく
派手で、それでいて色鮮やかで。
綺麗で、楽しい気分になれる。
だけどここは、薄い青色のライトに
ほんのり照らされていて、
綺麗だけど、どこか寂しく感じた。
「 ねぇ、繭 」
「 ・・・ん? 」
あきはそっと手を離して、
私をベンチに座らせると
あきは私の後ろに回って
そっと肩に手を置いた。
「 俺、この日が来るのを
ずっと待ってたよ 」
「 うん、私もだよ 」
「 だけど、ずっと・・・ずっと
”今日”が来なきゃいいと思ってた 」
「 ・・・・・・あき? 」
肩に置かれた手が微かに震えている。
振り返ろうとした私に
”だめだよ”と優しく言いながら
今度は手で目隠しをされた。