君がここに居たこと~初恋の奇跡~
坂を上ったその先にある
大きな公園は昼間は人が多く、
デートスポットでもある。
そして、その公園にある
展望台は俺たちの始まりの場所だ。
「 繭、早く 」
「 うん、待って! 」
12時丁度、では遅いけど
それでも24日の最後の最後に
”結婚しよう”と、ただ一言
繭に言いたい。
急かすように俺は先に歩いて
自販機の前で何を買おうか
迷っている繭に声をかけた。
道を挟んだ向こうに居る繭は
気付いているだろうか。
ライトなんてつけていない
すぐそこに聞こえる走行音。
こんなに暗いのに、と
周りを見渡しても車は見えなくて
だけどすごく嫌な予感がして、
「 あき~!!! 」
「 繭、待って! 」