君がここに居たこと~初恋の奇跡~
車はライトをつけていない。
そしてここには街灯がない。
自販機の明かりだけだ。
「 待て!! 」
自分でも驚くほどの声を出したけど
繭は”コーヒーが熱いよ”と
俺の元へ、・・・駆け出してしまった。
──────────────あき!!!!!!!
どこか遠くで聞こえたのは
繭の声だった。
全部が一瞬だった。
一瞬見えた車、その瞬間聞こえた
うるさいクラクション。
痛む体に顔は引きつる、だけど
頬を濡らす彼女の涙に
そっと目を開いた。