君がここに居たこと~初恋の奇跡~
電話を切ったあと、後ろで
楽しそうに私の肩を揺らす
吉田さんから逃げるように
適当に掃除を終わらせて
私は会社を出た。
大晦日の朝、人の少ない道を
歩きながら私はあの道へ
向かおうとしていた。
────────────コツ・・・
あの日と同じ、音のない道。
一本道を入っただけで、
こんなにも静かになるものなの?
変に緊張しながら一歩、また一歩と
その道を進んでいく。
「 ・・・・・っ 」
喉が詰まる。
自販機のところで
やっぱり私は泣き出してしまった。
息を整えながら、止まらない涙を
袖で何度も拭って足を動かす。