君がここに居たこと~初恋の奇跡~
『 繭、落ち着いて 』
通話ボタンを押して
耳に押し当てた携帯から
聞こえる優しい声に
「 ・・・・ッあきぃ・・ 」
縋るようにその場に座り込んだ。
両手で携帯を持ちながら
そこにあきが居るような気さえして、
弱々しい声を出しながら私は泣いた。
『 大丈夫だよ、大丈夫だから。
ゆっくり呼吸しよう? 』
吸って、吐いて。
当たり前の呼吸の仕方を忘れていた私を
宥めながら喉に詰まった弱音を
吐くように、息をさせてくれた。
「 ・・・・っ怖い・・・ 」
息を吐くたびに零れる弱音を
あきは黙って聞いてくれる。
髪を撫でるような温かい風が
横を通り過ぎて、
私はやっと落ち着いた。