君がここに居たこと~初恋の奇跡~




寒いからか、怖いからか、
身体の震えが止まらなくて
”温まろう”とコーヒーを買った。




ガコンッ、と音をたてて
出てきたコーヒーをとろうと
しゃがんで手を伸ばす。




「 ・・・・・・きゃっ 」




その瞬間、目眩がして、
私はその場に崩れるように座り込んだ。




震える手でコーヒーをとりながら
疲れてるんだ、と不安を押えこんで
ゆっくり立ち上がった。




温かいコーヒーを両手で包み込んで
はぁ、と白い息を吐き出す。




真っ暗な空に消えていくそれを
見送るように数分間空を眺めていた。




寒い、寒くて・・・・怖い。
コーヒーを強く握りながら
空を眺める私の頬には涙が伝っていた。




こんなこと、今までなかったのに。




やっぱり疲れてるんだ。
早く帰ろう、と止めていた足を
再度動かした。




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